同志社大学 生命医科学部 抗加齢医学研究室 アンチエイジングリサーチセンター
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TOP米井嘉一が考える抗加齢医学とは>老化のメカニズム 

▌ 老化のメカニズム

老化の原因としては (1) 遺伝子的要因、 (2) ホルモン分泌の変化、 (3) 細胞の酸化、 (4) 肥満の 4 つが考えられます。 (1) に関しては、今のところ手立てがないといえますが、近い将来に遺伝子治療といった形で大いに可能性があると考えられています。しかし、 (2) (3) (4) については、抗加齢医学によって克服できることが分かってきました。


■ ホルモン分泌の変化

人間の身体が「成長」から「老化」に切り替わる際の最も重要な変化は、「成長ホルモン」の分泌が大きく減少することです。一言でいうと、生命レベル (活力・健康・美しさ・たくましさ・性機能など) の低下であり、これが老化の現実、具体性をもたらします。成長ホルモン、メラトニン、 DHEA 、男性ホルモン、女性ホルモン、インスリン様成長因子など、若さと健康を保つために必要なホルモン分泌が一定レベルを下回ると、下記のような症状があらわれます。

◎ エネルギーの低下
◎ 運動能力や筋力の弱体化
◎ 性的ときめきや、精力の低下
◎ 意欲・精神的な鋭さの低下
◎ 視覚能力の低下
◎ 除脂肪筋肉量の減少
◎ 骨粗鬆症の進行
◎ 皮膚のツヤ・ハリや柔軟性の低下

これらの症状は、一般的な老化のイメージにかなり近いといえます。運動不足、ストレス、過労、睡眠不足などの悪い生活習慣や食習慣を放置すると、ホルモン分泌の低下はますます助長されていきます。


成長ホルモン (ヒト成長ホルモン/ HGH )

その名のとおり、幼・少年期に大量に放出され体の成長を促し助けるホルモンです。下垂体で分泌される成長ホルモンは、主に肝臓で IGF-I(インスリン様成長因子) に変換され、身体中の細胞や器官において成長ホルモンとしての作用を示します。成長ホルモンは、小児では骨や筋肉などの骨格と臓器・器官の発育に必須な大切なホルモンです。成人においても、成長ホルモンは、正常のエネルギー代謝・精神系の活動・タンパク質代謝・脂質代謝・免疫機能の維持において重要な働きを担っています。成長ホルモンやIGF-Iレベルが下がってくると、体脂肪の増加、筋肉重量の低下、骨密度の減少、気力やリビドー(性欲)の低下、コレステロール代謝の悪化、免疫能の低下、運動能力の低下、記憶力・認識力の低下などが起こってきます。これは、生活の質 ( QOL : Quality Of Life ) が低下した状態と言えます。

成長ホルモンは、睡眠している状態の中でも、最も眠りが深い時間帯に分泌されます。その分泌量は加齢とともに減少し、肝臓で産生される IGF-I の量も加齢とともに減少します。運動、睡眠の質、タンパク質・アミノ酸負荷は、成長ホルモンと IGF-I の分泌を促します。反対に、運動不足、ストレス、睡眠障害、糖質の過剰摂取、エストロゲン製剤の内服、肝硬変などの肝機能障害は、成長ホルモンや IGF-I の分泌を減少させてしまいます。

メラトニン

睡眠と覚醒 (昼と夜) のサイクルをコントロールするホルモンで、中高年以降の睡眠障害 (寝つけない、眠りが浅い) はメラトニンの低下が関与しています。メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンです。睡眠のリズム、睡眠の質に関与するばかりではなく、抗酸化作用、免疫力を増強させる働きがあります。このような睡眠障害の患者に、睡眠薬を処方するのと、メラトニンを処方するのとは、どちらが有効かつ自然に近いでしょうか。医学的にきちんと評価すべきであると考えます。

DHEA

ホルモンの母ともいわれ、成長ホルモンをはじめ性ホルモンなどの放出を促します。DHEA (デヒドロエピアンドロステロン) は、体内に最も豊富に存在する天然のステロイド系ホルモンです。主に副賢で産生されますが、加齢とともに血液中の濃度は下がってきます。血液検査では、安定型の DHEA-s (サルフェ−ト) を測定するのが一般的です。さらに DHEA を元に、テストステロンなどの男性ホルモン、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモン、タンパク同化ホルモン、ミネラル・コルチロイド、副賢皮膚ホルモンなど、実に 50 種類以上のホルモンがつくられます。これらはすべて、健康の維持や脂肪の燃焼による筋肉の維持、また、性ホルモンの安定維持、老化の防止、ミネラルバランスの維持といった重要な働きをするホルモンなのです。DHEA 自体にも、免疫システムを強化して、感染症、がん、冠動脈疾患、あるいは骨粗鬆症の発病率を下げ,血中コレステロール値を低下させることがわかっています。最近では、インスリン抵抗性を改善させ、血糖値を安定させるなど、成人糖尿病の発病予防にも大いに関係することが知られています。

男性ホルモン、女性ホルモン、甲状腺ホルモンなどが加齢とともに低下していきます。エストロゲンは、最も重要かつ強力な女性ホルモンの一つで、第二次性微の発達や膣、子宮内膜の周期的な変化という女性の生殖に関する大変重要な部分をコントロールしています。女性では閉経期を境にエストロゲン・レベルの急激な低下を来し、更年期障害に見られるほてりなどの原因となります。更年期障害の治療として、HRT (ホルモン補充治療) が行われています。最近の研究で、閉経後のエストロゲン補充によって、骨粗鬆症が予防できたり、アルツハイマー病の発症率が低下することが、明らかになっています。


■ 細胞の変化

細胞の酸化とは、分かりやすくいえば細胞がサビつくことです。酸化は身体の老化を速めることが分かっています。そして、このサビの原因となるものが活性酸素であり、具体的には細胞膜やミトコンドリア、細胞核に障害を与え、細胞数の減少、組織障害へとつながります。現代社会では、活性酸素が大量に作られる環境であるともいわれており (放射線、電磁波、紫外線、喫煙、大気・水質汚染、食品添加物、精神的ストレスといった様々な要因で発生しやすくなる) 、これを減らすことが老化防止になります。抗酸化作用のある食物やサプリメントの摂取により、活性酸素の過剰生成を食い止めることが可能であると考えられています。


■ 肥 満

肥満によっても老化が進みます。肥満状態が活性酸素を発生させやすい以外にも、肥満体では運動量が低下し、骨量や筋肉量が減り、若い身体を維持できなくなります。また、肥満に合併しやすい糖尿病、高脂血圧、高血圧といった疾患は動脈硬化を進め、身体の内からの老化も加速することが分かっています。過剰な脂肪を身体につけることで、確実にいろいろな細胞や組織は障害を受けることになり、その結果、老化を早めるわけです。

 
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